かつてカラオケといえば、専門のカラオケバーなどにおいて見ず知らずの他の多数の客を前にして、歌うということが普通でした。
その後、ボックスタイプのカラオケサービス――いわゆるカラオケボックスが登場すると、カラオケは仲間内で楽しむものへと変化しました。カラオケボックスの登場が画期的だったのは、この一点に尽きます。以前のようなバーや喫茶店タイプのカラオケサービスでは、いきなり知らない人の前で歌を歌わなくてはなりません。つまりは、こうした状況を楽しめる人もいれば、知らない人の前では照れくさくて歌えないという方もいたわけです。後者の人々は自然とカラオケ文化から当時は距離を置いていたはずです。
しかし、カラオケボックスならば気心の知れた家族や友人たちのみでカラオケを楽しむことが容易です。90年代にカラオケブームが爆発したのは、間違いなくカラオケボックスの普及によるものでした。
そして現在、カラオケはまた新たな形態と局面を迎えつつあります。ボックスシステムというそのメリットを更に活かした形で、ひとりカラオケというものが誕生したのです。
ひとりカラオケとはその名の通り、一人でカラオケボックスを使ってカラオケをするということを指すのですが、その楽しみ方や活用法には様々な背景や実情が存在しています。
まず、単純に好きな歌を好きなだけ誰にも邪魔されない状態で歌いたいという願望を実現させる形でのひとりカラオケがあります。また、日常的に溜まってゆくストレス解消法としての側面を有したヒトカラも定番化しつつあります。
あるいは、友人たちとのカラオケや、いわゆる地域や企業等によるカラオケ大会に備えて自信曲を練習するという意味合いで、ひとりカラオケを行う場合も存在します。つまり、そうした本番に向けて、キーや歌い方のチェックを事前に心行くまで済ませておくわけです。
いずれにしてもひとりカラオケは、他人の目が介在しないということが大きなポイントとなっているように思います。練習をするにせよ、存分に歌いたいがためにせよ、他者がその場にいては滞りなくそれを為すことは難しくなってきます。
もしもあなたが「歌いたい!」「練習したい!」と考えておられるのであれば、積極的にひとりカラオケを行ってみてください。必ず充実した時間が送れるはずです。