病み付きになっちゃうひとりカラオケ

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私、昔はカラオケが大嫌いでした。何故なら音痴だったからです。
歌のうまい人にはわからないでしょうが、音痴って自分で歌っている最中でも「あ、音程外した」「あ、声が出てない」って分かりますし、周囲の微妙な表情と気を遣った手拍子がガラスのハートにグサグサ来るんですよ。
自分で歌っていても下手さを痛感する、周囲には気を遣わせるとなれば、カラオケも嫌いになっちゃいますよね。
何で今こんなことを語っているのかといいますと、実は今や大のカラオケ好きと化しているからなんです。
そのきっかけとなったのはひとりカラオケ。通称「ヒトカラ」です。
今やすっかり市民権を得た感もあるひとりカラオケですが、私がこれにのめり込んだのは今から8年前になります。
当時、まだまだウブで可愛い新入社員だった私ですが、年末に行われる忘年会でカラオケ大会をやると聞かされたのです。
友人同士なら「私パス」で済ませられるでしょうが、会社の催し物となればそういうわけにもいきません。ましてや私は新入社員なのです。むしろ積極的に歌わされる可能性が大です。
私は内心かなり焦りました。忘年会だから仮病も使えないし、出席すればカラオケを拒否することはできません。いっそのこと、お酒をガンガン飲んで酔い潰れてしまおうかとも思いましたが、それはそれで問題があります。
結局私は腹を決めました。これはもう、忘年会に行くしかないと。
そこで音痴を克服するため、練習をすることを決意しました。
私はマンションに住んでいるので、部屋や風呂場で歌を歌うことはできません。
そうなると、専用の場へ行くしかないのです。そうカラオケ店です。
忘年会までは残り2ヶ月。どこまで音痴を克服できるか分からないけど、とにかく練習をしまくって頑張るしかありません。
こうしてひとりでカラオケ店に突入して歌ってみたのですが、やはり音程が外れまくって酷い歌声。
しかし周囲に気を遣って微妙な表情をする人はいません。
私は何度も何度も同じ歌を歌い、そして徐々にではありますがイメージしている音程になっていきました。
こうなると成長も速いもので、色々な歌に挑戦するうちにレパートリーもどんどん増えていきました。
ひとりカラオケの利点は、誰にも気を遣わずに同じ歌を何度も歌うことができる点になるんですよね。採点機能もありますし、何がダメなのかが一目で分かります。
最近では「ビブラート」や「こぶし」の出し方について、学校に行って勉強しようかと本気で思うっちゃうほどです。
あ、肝心の忘年会ですが無事に切り抜けられましたよ。その際「ひとりカラオケに行って練習したんです」と言うと「カラオケに一人で行ったの?」と驚かれたものです。
あれから8年。今ではヒトカラ仲間も増えまして、会社の同僚と仕事帰りにカラオケに行ったりもしていますよ。各々個室に入っちゃいますけどね(笑)

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