心に響く歌のコツはビブラートにあらず

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最近のカラオケ機械ではブレスやビブラートなど様々な歌唱指示がなされるものがあります。

あたかもそれがうまく歌うコツのように表示されるため、無意識にそれに合わせて身体をコントロールしてしまう方も多いのではないでしょうか。
本来ブレスは息が足りなくなったときにするもので、この歌はここで息を吸いましょうなどと言うものではありません。

人それぞれに息の長さは違って当然なのです。J-POPなど日本人が日本語の曲を歌うときにブレスの位置で気を配る事はひとつ、言葉の意味を伝える妨げになってはならないということだけなのです。

息の長さが足りずに言葉を切ってしまわないようコントロールする、そのためにロングトーンなどの訓練をしているのです。

これはオペラなど声楽を習っている人には当てはまりません。なぜなら声を楽器として捉えているために楽譜にブレスの位置が記載されているからです。作曲者の意図が息を吸う音や間髪に反映されて始めてその曲が完成する為です。
ではビブラートについてはどうでしょうか。ビブラートとは吐く息の量を調節して音の響きを変える技法です。

音量や長さなどで感情を表現するテクニックの一つであり、むやみやたらに使えば上手く聞こえるというものでは有りません。

カラオケマシーンでは点数加算に有効な手段として用いられがちですが、歌で思いを伝えたいと願う方々にとってはあまり意図して使う価値のないものなのかもしれません。

ビブラートは心が震えたときに自然と起こる現象です。はじめは息が続かず苦しくて「震えた声が良かったよ」なんて声を掛けられたりするかもしてません。

苦しいけど思いを届けたい、その気持ちが聞き手の心を動かすからです。心が動くということは感動するということ、けして上手いとはいえない歌い手がどうにも心から離れがたい歌を聞かせることは周知の事実なのです。
歌を歌うとき、鼻歌でなければ誰でも聞いてもらう人に何か届けたいメッセージを放っているものです。

コピーバンドで歌詞の意味すら分からずに歌うときでさえそれは同じなのです。

歌うということは自己主張と同じです。磨いたテクニックはモノマネではなく自分の為に使えるようになるともっと上手くなる。それがあなたらしく歌うコツなのではないでしょうか。

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